秋が深まり冬へと移り変わっていくこの時期、特に理由もなく気分が沈んだりすることはありませんか?もし心当たりがあるなら、季節性うつ病の予備軍である可能性があります。

秋に気分が沈みやすくなる理由とは?
理由もなく寂しい、なんとなく気分が落ち込むなど、秋に陥りやすい心理状態は、”秋うつ”とも呼ばれています。
でも、なぜ秋になると気分が沈みがちになってしまうのでしょうか。実はそこには、秋ならではの理由があるようです。
■セロトニン不足
セロトニンは、精神を安定させ幸福感をもたらす脳内物質です。日光を浴びることで分泌量が増えるとされています。しかし冬目前のこの時期は、日照時間が急激に短くなっていきます。日が出ている時間が短くなると、当然ながらセロトニンの分泌量が減ってしまいます。
セロトニンが不足することで精神的に不安定になりやすくなり、気分が沈みがちになってしまうというわけです。

■気温の変化
心理学においては、身体が感じる暖かさと心理的な暖かさには深い因果関係があるとされています。冬が近づくにつれ気温はどんどん低下していきますから、心理面にもやはり影響を及ぼす可能性があります。
また、この時期にありがちですが、日中は暖かく夜は冷え込むというように昼夜の寒暖差が激しい日は、自律神経が負担を強いられることになります。その結果自律神経が乱れてしまうと、ネガティブ思考になってしまう場合があります。

これらのような理由から考えると、秋に気分が落ち込みやすくなるのはある程度は仕方のないことなのかもしれませんね。しかし悪化していく場合には季節性うつ病である可能性もあるので注意が必要です。
季節性うつ病とは?
季節性うつ病は、秋から冬にかけて発症しやすくなるとされるうつ病で、季節性情動障害や冬季うつ病とも呼ばれます。主な症状としては次のようなものがあります。
・過眠
・過食
・気分が落ち込む
・身体がだるい
・無気力

通常のうつ病と違い、不眠ではなく過眠、拒食ではなく過食の症状がでるのが大きな特徴といえます。それ以外の症状は、一般的なうつ病と同様のようです。
また、日照時間がより短くなる北海道や北陸地方、東北の日本海側地域で特に患者数が多いとされています。
季節性うつ病は、春を迎える頃に自然に治り、秋が訪れるとまた再発するというサイクルを繰り返す、期間限定のうつ病です。症状がでるのは秋から冬にかけてのみとされていますが、しかしだからといって油断は禁物です。
もし重症化した場合、衝動的に自殺を実行してしまう可能性もゼロではありませんし、そこまでいかなくとも、日常生活に様々な影響を及ぼすことになるかもしれません。
理由もなく悲しくなったり、気分が落ち込むのは、身体からのサインでもあります。うつ病にまで進行させないよう、日頃からケアを行い予防していくことが大切です。
季節性うつ病の予防法
季節性うつ病には、どのような予防法が効果的なのでしょうか。一般的に有効とされている対策をまとめてみました。
●光を浴びる
太陽光を浴びることでセロトニンの生成が促進されるので、意識的に日の光を浴びるようにします。これは実際に医学的にも効果が認められており、抗うつ薬よりも有効だそうです。ガイドラインや2018年のシステマティックレビューでも、季節性うつ病の場合は光療法を第一選択にすべきとしています。
特に効果が高いのが午前中の日光浴です。朝、日光を浴びることで体内時計(概日リズム)が正常に機能し、自律神経のバランスが安定化、ポジティブな気分で一日をスタートできるようになります。
ちなみに人工光でも問題なく、夜間であっても光を浴びるのは有効とされています。

●食事でセロトニン生成を促す
栄養バランスの良い食事をとることを前提としつつ、トリプトファンを含む食材も積極的に取り入れましょう。トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、セロトニンの生成に欠かせない物質です。
肉・魚・大豆・乳製品などトリプトファンを多く含む食材を取り入れることで、セロトニンの分泌量を増やすことができます。

●適度な運動
身体を動かすことで神経伝達物質であるドーパミンの分泌が活性化し、気分の落ち込みやイライラを改善できます。また、リズミカルに運動するとセロトニンが分泌されやすくなるそうなので、ウォーキングやジョギングなどリズム感のある運動なら尚良しでしょう。

季節性うつ病の予防法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。これからますます日照時間が短くなって、寒い季節へと移り変わっていくわけですから、ときには気持ちが沈む日があるのも自然なことです。
落ち込むことがあってもあまり深刻に考えすぎず、ポジティブに乗り越えていきましょう。何かと楽しいイベントの多い冬。どうせならハッピーな気持ちで迎えたいですよね。
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