今年の1月はインフルエンザが大流行し、患者数は過去最多となりました。厚生労働省の発表によれば、医療機関の受診者数は約222万人とのこと。警報レベルとまでいわれていましたよね。ピークは過ぎましたが、まだまだ油断は禁物といった状況でしょう。
そしてインフルエンザだけでなく、風邪をひきやすいのもまた今の時期です。これらのような感染症を予防するには、免疫力をアップさせることが有効といえます。
免疫力とは?
免疫力とは、体内に侵入したウイルスや細菌、発生したがん細胞、その他の異物などを監視し、必要とあらば即座に駆除する免疫系の力を指します。日々の健康を維持するうえで、なくてはならない自己防衛力です。
免疫系には様々な種類がありますが、大まかに粘膜免疫と全身免疫(自然免疫、獲得免疫)に分けられます。
■粘膜免疫
目、鼻、口、腸管などに備わる粘膜は、ウイルスや細菌を防ぐための最初の防衛システムになります。まずはここで侵入を食い止め、異物を体外へ排出します。涙や鼻水、唾液も決して無駄に出ているわけではないのです。
■自然免疫
体内に侵入してきたウイルスや細菌に、真っ先に反応し攻撃するのが自然免疫です。主に、白血球に含まれる好中球、マクロファージ、樹状細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などが対応します。これらは独立した単細胞生物のように行動し、病原体を見つけ次第、即座に撃退してくれます。
■獲得免疫
自然免疫で対応できなかった病原体と闘うのが獲得免疫です。T細胞、B細胞と呼ばれるリンパ球が対応します。個々の病原体を判別し記憶するため、同じ種類の抗原が2度目に侵入した場合は、より強力に反応し排除します。
免疫細胞の約6割は、腸内に存在するといわれています。腸は、毎日いろいろな食物を消化・吸収し、排泄へとつなげている器官です。
免疫力が低下する原因
免疫力が低下すると、インフルエンザや風邪などの感染症にかかりやすくなるほか、肌荒れやアレルギー症状、お腹の不調などを引き起こしやすくなってしまいます。
でもなぜ、免疫力は減退してしまうのでしょうか。
その原因としては、次のようなことが考えられるそうです。
▼ストレス
ストレスによって自律神経のバランスが乱れると内分泌系にも異常が生じ、結果として免疫細胞の働きが弱まってしまいます。仕事での重圧や人間関係のストレスなど精神的なものだけでなく、過度の疲労、飲酒や喫煙、暴飲暴食など肉体的なストレスも同様です。
▼栄養不足
免疫細胞の主成分となるたんぱく質や、免疫細胞を保護するミネラル、ビタミン群などが不足していたり、偏っていると免疫力は低下します。免疫細胞の多くは腸内にいますから、毎日の食事はとても重要です。
▼睡眠不足
睡眠中は免疫細胞の働きが活発になるとされています。睡眠時間が不足すると、充分に免疫が機能していない状態で朝を迎えなくてはいけません。大塚製薬・乳酸菌B240研究所によれば、睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上の人に比べて風邪の発症率が約3倍となったそうです。
▼運動不足
ほとんど身体を動かさないような状態が続くと血液やリンパの流れが悪くなり、免疫力が低下する要因になります。
▼冷え
身体の冷えも免疫細胞の働きを鈍くさせるそうです。厚生労働省が運営するヘルスケアラボでもその点について指摘しています。身体が冷えやすい冬にインフルエンザや風邪が流行しているという相関関係を見ても、やはり冷えには注意するべきでしょう。
免疫力アップの方法!
免疫力をアップすれば、病気になるリスクを減らすことができます。賢く免疫力を高めて、風邪知らずの健康体を目指しましょう!
●腸内環境を整える
免疫力アップには、まず腸内環境を整えることが必要不可欠です。ヨーグルト、味噌、納豆などの発酵食品や、全粒穀物、食物繊維、乳酸菌、オリゴ糖、緑茶などが腸内環境改善に有効とされています。
また、たんぱく質やビタミン、ミネラルは免疫細胞を活性化させるそうです。結局のところ、バランスの良い食事が一番、ということでしょう。
●適度な運動
適度な運動は血流を良くし、程よく身体を温めます。身体が温まれば、自然と免疫力も高まります。ウォーキングやジョギングなど自分のペースで無理なく続けられる運動で、健康な身体を作っていきましょう。
●充分な睡眠
免疫細胞は睡眠中に活性化しますから、毎日よく眠るだけでも、免疫力がアップし感染症の予防になります。しっかり熟睡できるような良質の睡眠なら、より効果が高いそうです。
●楽観性
意外かもしれませんが、笑いやユーモア、楽観性が免疫力を高めるという研究データも発表されています。でも確かに、いつも笑っていられればストレスとは無縁になりそうですよね。