毎年訪れる、寒い季節。
日本に四季があるのは素晴らしいことですが、冬の環境は、身体にとってはそれだけでストレスにつながる場合もあります。
冬に腰痛の患者さんが急増するのも、冬の寒さが影響している可能性があるといえるでしょう。
冬に急増する腰痛、その原因は?
医学博士である福田千晶氏の調査(※20〜50代女性を対象)によれば、「一年中ずっと肩・首・腰のこりを感じる」という人は約50%、「特に冬に感じる」という人は40%以上という結果がでています。
つまり、一年中という方と合わせれば、冬に身体の不調を感じる人は90%にも及ぶのです。
また、腰痛を感じている人の約8割が冷えを実感している、という結果もでています。
もともと身体は、温めたほうがより力を発揮できるように作られています。
温めることで血流が活性化し、筋肉が柔軟になって本来の力を発揮できるのです。
しかし逆に、冷やすと筋肉は硬くなり、血管の幅も狭くなります。当然ながら血流も悪化し、疲労の回復が遅くなってしまいます。
冷えによりそんな状態が続けば、筋肉は緊張したままで休まる暇がありません。結果的に、冷えが腰痛などの身体の不調を引き起こす原因になり得るというわけです。
ただし、筋肉の緊張が必ずしも悪いということではありません。
寒いと感じたときに無意識に筋肉に力が入る、というのは、筋肉を緊張させることで体温を上げようとする身体本来の働きによるものです。
また、血管が狭くなるのも、熱を逃さないようにあえて血管を収縮させているのです。
冬に腰痛になりやすい別の要因
冬に腰痛になりやすい原因は、冷えだけとは限りません。もともと腰痛を引き起こす原因は様々にありますが、冬ならではといえる要因もあります。例えば以下のようなものです。
▼年末年始の慌ただしさ
冬といえば、大掃除や忘年会、新年会など、いろいろなイベントが立て続けにありますよね。
一年の終わりと始まりの両方を迎える時期であることから、業種によっては仕事も繁忙期であったりします。当然ながら疲労は溜まりやすく、忘年会や新年会などの飲み会も、仕事絡みならやはり気疲れしやすいでしょう。
飲酒後、外に出たときに、急激に身体が冷えてしまうのも身体にとっては大きな負担になります。
▼運動不足
冬の間ずっと、「外寒いから」とほとんど出掛けなくなったり、運動を全くしなくなって家に閉じこもりがちになるのも、腰痛などの発症リスクになります。
特に冬休みや正月なんかは、食べては横になって、ずっとテレビを見て過ごすという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
それでも身体が不調にならないならいいのですが、ただでさえ筋肉が硬くなりやすい季節ですから、冷え性の方は特に注意が必要です。
▼悪い姿勢
冬はどうしてもインドアになりやすく、スマホやパソコン、ゲームなどに没頭する機会が増えます。
面白いゲームアプリもたくさんありますから、特に子どもや学生は夢中になりやすいでしょう。
そうなると、問題になってくるのが姿勢の悪化です。画面に集中するあまり、前のめりになり、猫背が身に付いてしまう人も少なくありません。
悪い姿勢が日常的になるほど、腰痛のリスクは高まります。
冷え腰痛の予防対策
冷えが一因となる腰痛、いわゆる冷え腰痛を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。
▼肩・首・腰を温める
基本的には、肩・首・腰を常に温めることが冷え腰痛の対策になります。特に外出時は、熱を逃さないようしっかりと防寒しましょう。
▼入浴で身体を温める
シャワーだけで済まさず、ゆっくりとお湯に浸かることで身体が芯から温まります。シャワーでも身体は温まりますが、特に気温の低い日は、なるべくお風呂に浸かったほうが温熱効果も長く続きます。
▼食事での対策
食事が身体に与える影響は大きいです。身体を温める食べ物を取り入れることで、身体を内側から温めることができ、冷え対策になります。どのような食材が良いのかというと、冬が旬だったり、寒冷地で育つ暖色系の野菜、ビタミンを多く含む食材がベストです。例えば、ニンジン、カボチャ、玉ねぎ、レンコン、ゴボウ、にんにく、しょうが、赤身魚など。生で食べるよりは、やはりスープや鍋料理にしていただくほうが冷えの解消につながります。
▼定期的に身体を動かす
長時間、同じ姿勢で居続けると、筋肉が緊張して血行不良となり、身体全体を冷えさせてしまいます。年末や年始めの忙しい仕事、忘年会や新年会、あるいは自宅で過ごすなかで、座っている状態が長く続く場合、1時間に1回は席を立つようにしましょう。その際、軽くストレッチなどを行うと効果的です。
冬は体調を崩しやすいですが、しっかりと身体をケアすれば腰痛の症状も軽減させることは可能です。一年の終わりと始まりの時期だからこそ、優しく身体をいたわり、元気に春を迎えましょう。 エミタス整体